長野市民日記-095
更新日:2014年06月11日|書いた人:【連載】長野市民日記
長野市民日記95 2014年6月10日(火)
今日、田植えをした。
ホームレスになって三年目、人んちの田んぼ仕事を手伝って日銭を稼ぐ日々。
お金はほとんど酒とタバコと銭湯に使う。娯楽はラジオを聴くことだ。
三年前迄外資系の投資銀行に勤めていた。
ベルサーチのスーツを着、金ロレをして夜はやんちゃをしていた。合コンへ行って初めて会う女子達に「やあ、子猫ちゃん達」と、フツーに言っていたあの頃が懐かしい。
夕方、いつもの河原、いつもの場所にテントをはり、川の流れを眺めていると声をかけられた。“ヤッホー、お兄ちゃん”。妹のチコだった。
チコは学校帰り。授業で分からないトコがあるので教えて欲しいという。いつものことだ。
私はていねいに確率の問題を教えた。
“ここのファイ(φ)の計算がミソなんだよ”。妹は礼を言って帰っていった。