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長野市民日記-086

更新日:2014年03月12日|書いた人:【連載】長野市民日記


長野市民日記86 2014年3月10日(月)

 今日、墓参りに行った。
 近所の寺。御先祖様と祖父母と母の骨が入っている墓の前で手を合わせる。「ナムナム」と。
 雪がチラチラとふっている。三月の雪だ。
 「早く暖かくならないかな〜」と空を見ているとケータイがブルブルふるえた。
 看護士さんからだった。私が担当している患者N島さんの容態が急変したのだ。血圧が一気に下がり、心拍が停止直前の数値だという。
 昨夜のN島さんの言葉を思いだす。
 「ワシ、もうジイさんだからいつ死んでもイイよ。でも先生、アイス買ってきてくれ」
 アイスを看護士さんに食べさせてもらいながらピースするN島さん。
 私はケータイを握りしめ声をはり上げる。「ボスミン(強心剤)三百グラムおとして。あと電気ショックの用意。すぐ行く!」
 通話を切ると駐車場に向かって駆け出した。

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