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「ハムレット?」リレーインタビュー① -西村和宏さん-

更新日:2014年08月14日|書いた人:小川哲郎ネオンプロデュース演劇2014「ハムレット」

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いよいよ明日から稽古が始まる、プロデュース公演「ハムレット?」!!
公演日までの間、いろんな人に演劇や、ネオンや、ハムレットなんかについて、
インタビューしていこうという企画です。
第一回目は、今作の演出家・西村さんに、いくつか質問してみました。

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哲:西村さん、お疲れさまです、間もなく稽古が始まりますね。。
ドキドキします。準備ひきつづき頑張ります!
前回の公演をネオンホールでやったことで、今回も実現できる部分も大きいかと、勝手に思ってるんですが、3月の公演、やってみてどうでしたか?
ネオンホールって劇場としてどうなのかなって、あんまり他と比べられなく、わからないんですが。。


西:長野での創作はこれで9作目となりますが、ネオンホールで創ったのは前回が初めてでした。
まずは思ったのはスタッフの受け入れの心地よさですね。
アーティストと作品を一緒に創る、という姿勢が染み付いているな、と感じました。

あとは、空間として心地よいと思います。
まぁ、もちろん、柱があったり、使える機材も少なかったりして、なんだかんだと不都合なことも多いですが、”気”の流れのよさがいいなと感じました。
それは20年、音楽や演劇をやり続けてきた、この場所を愛している人がいる、そういうことに関係していると思います。


哲:…とても嬉しいです!!
『アーティストと作品を一緒に創る』
部分は、感じ取ってもらえたらとっても嬉しいです。
日々、結構そのことについて考えています。
バンドにしろ、演劇にしろ、やってくれる人がいて、でもみてて惜しいなと思う部分が正直あったりして、それについて話をしてみたり、またステージの外側にいる自分たちに出来ることで、より面白くなることってあるだろうなって。。

マッチ(3月の公演)のときは、役者は、役者に、演出家は演出家に専念して欲しい。そんな思いが強かったです。
“気”の流れは、3月の公演があって、さらに良くなったと感じています。
もっと良くしていきたい。

ハムレットは、既に香川で学生の皆さんと創った作品ですよね?
どうして、ハムレットをやろうと思ったんですか?
何となく自分たちにとって、シェークスピアってなんか大変そう、っていうイメージがあったりします。「シェークスピアかぁ…」みたいな。


西:今回の作品は2部構成になっています。
1部が2012年冬に学生たちと創った「たぶん、ハムレット」という作品を元に創ります。
これは、授業の発表会のときに創ったので、
演劇をまったく観たことがなく、興味もない、シェイクスピアってなに?みたいな学生が観にきて、
「へー、意外とシェイクスピア面白いじゃん」
みたいな感じで観れることを目指して創った作品です。
ハムレットを45分くらいにコンパクトにめとめて、学芸会風で脱力系です。
2部は「Hamlet/Body」という新作です。
ハイナー・ミュラーの「ハムレットマシーン」という、1977年にハムレットを解体し、当時の東ドイツの社会の様子を描いたテキストがあるのですが、それにインスパイアされた言葉の羅列と、出演する若者の今の悩みを羅列して、
現代の日本の社会をどうにか表現できないか?と考えています。
まぁ、こちらはどうなるか、稽古が始まってみないと分かりません。
稽古しながら、今の仮説がただしいかどうか、試したいと思っています。

で、なぜ、「ハムレット」かということですが、
それはやっぱり、日本がこういう時代になっちゃったから、というのが大きいと思います。
秘密保護法、集団的自衛権、憲法解釈
ほんの少し前なら、信じられないようなことが今、起こっていて、
そういう混乱の時代においては、やっぱり「ハムレット」だな、と。
私は「ハムレット」は
混乱の時代に、混乱のまま、ひとりの若者が悩み続ける話だと思っていて
だから、その部分を上手く舞台にあげることができれば、
観る人がいろいろ考えられる作品になるんじゃないかな、
そういう作品を創りたいな、
と思っています。

『シェークスピアってなんか大変そう、っていうイメージがあったりします。』

あと、そういう人たちに、演劇ってなんでもいんだ、みたいなことを思ってもらえたらと思って、今回は古典をやろうかと。それにちょうど今年はシェイクスピア生誕450周年ですし。


哲:なるほどです。。
若者の悩みは時代や社会を反映しているのかな、という気はします。
最近だと、どんな仕事をしようかとか、どこに就職しようかとか。
…若いって、イコール悩むことだったりするんですかね。
なんだかこのごろ20代の人たちと話をしていると、数年前の自分のことがよくフラッシュバックします。

今回年齢制限を設けて、若者と創るというのも初めての試みなので、楽しみですね。
(怖さもありますが、、笑)
西村さんは、普段学生たちをみていて、どんなことを思うんですか?

西:単純に羨ましいなー、と思います。
まだ、これからの人生がまったく決まってなくて、どうとでもなる、というのはいいなーと。
本人たちにとっては不安と悩みだらけだとは思うんですが。
彼らのころに想い描いていた将来って、40歳頃のことだと思うんですね、最近。
だから、彼らにとって(もしくは20歳のときの私にとって)、今の私は「将来なう」なんですよ。
もちろん、私だってこれからの目標もあるし、やりたいこともある。
でも、それは、いろんな選択肢がもう狭まれた中での目標でしかない。
しかも、年齢をかさねて背負うものもできて、自分のためだけに生きる、ということはできない。
彼らは、それができる。
そういうのが羨ましいな、と。
まぁ、とは言っても、その頃に戻りたいか?って聞かれたら絶対嫌ですけど。

今回来る学生は2年生~4年生までばらばらなんですが、
特に3、4年生はこの四国学院大学演劇コースの立ち上げメンバーなので、
私自身、すごく思い入れが強いです。
大学としても初めての試みで、私も大学の教員をやるのも初めてで、学生たちには先輩もいないし前例もなにもない、
誰もかれも右も左もわからない、という状況でこの2、3年、走ってきたので、
学生ー教員、というより、劇団創立メンバーくらいの関係性じゃないかな、と思います。
去年、私の作品にレギュラーででている学生は12から13本くらいは出演してますから、
その辺のプロよりよっぽど出てます。
しかも、そのほとんどが有料公演で、私以外のプロの演出家とも作品を創っています。
おそらく今、日本で一番演劇をやっている学生たちだと自負しています。



西村和宏
今作の演出家。サラダボール主宰・青年団演出部・四国学院大学助教。
1973年兵庫県生まれ。主宰劇団での活動の他に、地域市民や高校生向け演劇WSなどプロの俳優向けでない演劇WSを多数行い、芸術を起点とした地域のコミュニティの再編成・地域活性化を目指した活動も行っている。
長野での市民劇創作は今作で9作品目となる。

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