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「ハムレット?」リレーインタビュー⑤ -石川利江さん-

更新日:2014年08月21日|書いた人:小川哲郎ネオンプロデュース演劇2014「ハムレット」

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ネオンホールのかなり近くにあるギャラリー「ガレリア表参道」の運営もされている石川さん。文化についてのお話がとっても面白くていつもとっても勉強になります。
演劇の文化としての側面について、お話して頂きました!

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哲:石川さんこんにちは、 インタビューうけてくださってありがとうございます!
石川さんにお話を聞けるととっても勉強になります。

ギャラリーのオーナーもされるし、唐組を呼んだりもしちゃう、石川さんの趣向がとっても興味深く思っています。
文化という言葉の中にはどちらもしっかりおさまると思います。
文化として演劇を考えた時に、その一番の価値ってどういう部分なんでしょうか、?

何かいきなり大きめな質問ですいません。 イメージすることありますか?



石:すごい大きな質問で原稿用紙50枚ぐらいが必要な感じです!?

私自身の演劇への入り口は近世芸能の歌舞伎からです。
初めて歌舞伎を見た18歳の時、この不思議な世界に魅せられました。
男が女に、老人が美女に若者に、世界を反転させるための役者のエネルギーは半端ではありませんでした。
乞食が王になる世界です。
それから約半世紀近く歌舞伎、能、文楽、そして当時アングラといわれた状況劇場などの芝居、舞踏・・新劇、新派まで見てきました。
江戸時代は千両を取る人気役者も、芝居町を出るときには編み笠で顔を隠し、建前としては、自由に芝居町から出られない、士農工商の外側にいる存在でした。

「錦着た畳の上の乞食かな   二代目団十郎」  

日本の芸能には権力から一番遠い境界線から、中心を撃つという構造があると思います。
私はその屈折したエネルギーに魅せられました。
本当に芝居に入り込んだ時には、この幕が下りた後に生きていたくないと思いました。
そういうパッションを燃え立たせる狂気も演劇のある一面です。
もっと論理性のある芝居の構造、演出の力に魅せられるときもあります。
全く違う解釈による世界が、同じ戯曲で展開するのですから。

文化をどう規定するかはまた大きな問題ですが、人間が太古からの生活を見ますと、日々の食べ物を得るだけでも大変な時代も、洞窟には絵をかき、衣服デザインや装飾もそれぞれの環境の中でしています。
死者に対する儀式、狩猟にしても農耕にしても自然の畏怖との闘いであった頃、いろいろな儀式に伴う、演劇的なかたちが世界中にあります。
音楽や舞踏も日常の労働や儀式から立ち上がってきたと思います。
文化は生きていることから遊離したものではなく、生きていく力であり、日常の枠作りであり、人間は文化に触れ享受しないと生きていることを確認できないものだと思います。

文化としての演劇の一番の魅力は日常からの逸脱であり、演劇は異界の力に触れる場です。
日常とは非日常に裏打ちされないと、豊穣さを失い、エネルギーが枯渇していきます。
演劇は世界の解釈を無限に広げ、人間存在の不可思議さを多面的に見せ、心の迷宮を辿らせてくれます。
それと現代では忘れがちな人間の肉体の力、存在のパワーを実感させてくれます。
結果として、私たちの現実に生きる力を強化し、他者への理解を深めていくものだと思います。



哲:…なんだか、ものすごく感動しました。。
石川さんの半生は演劇とともにあるんですね!

これまで「演劇に可能性がある」と、演劇に関わりながら、わからないなりに模索していましたが、とても背中を押された感じがします。
「演劇は世界の解釈を無限に広げ、人間存在の不可思議さを多面的に見せ、心の迷宮を辿らせてくれます。」そんな作品づくりをしていけたら…と思います!

今回は、若者たちが「ハムレット」に挑戦しています。
ぜひ、激励の言葉を頂けませんか?



石:暑い中の制作お疲れ様です。
ご自分の自覚はないと思いますが、青春という言葉はぴったりしないけれど、エネルギーが滾っている時を過ごしていらっしゃるのだと思います。
でも若いということは、外見は美しいのですが、内面は大きな不安に引きずり回され、自分の無様にやりきれなくなる時代でもあります。
まあ、ハムレットもそういう解釈もできるのでしょう!
土曜に見に行きますね。

――日本最初の「オフェリア」
今回の西村さんの演出がどんな「ハムレット」を見せくださるのか、楽しみにしています。
これまで何万人のハムレットが世界中で演じられたことでしょう!

日本で初めて「ハムレット」のオフェリアを演じたのは、松代出身の日本最初の女優・松井須磨子です。
明治43年早稲田文芸協会の第一回試演会で「ハムレット」が上演され、23歳で文芸協会に入ったばかりの須磨子がオフェリアに抜擢されます。
坪内逍遥訳の台詞は今読むと歌舞伎のような調子ですが、大評判を呼び、翌44年には帝国劇場で須磨子たちによりで再演されます。
平塚らいてふらによる女性の雑誌「青鞜」が発刊された年でもあります。

いろいろなハムレットを見ましたが、生と死、恋、狂気、嫉妬、近親憎悪など、時代を超えた様々なモティーフが散りばめられた戯曲は、どういう風にも料理ができるからこそ、多くの演出家が挑み、俳優が演じてきたのでしょう。

スタッフ、出演者の方々、暑い中お疲れ様です!
土曜は楽しみにしています。



哲:石川さんのコメントにとっても元気を頂いています。
そして、すごく勉強になります…!

シェイクスピアが生誕450年で、
100年前に日本で初めて上演されて。
なんかとても壮大です。
また、それだけじゃなくても、貴重な体験だと、実感しています。

残りわずか、頑張りたいと思います。
ありがとうございました。
本番、お会いできるのを楽しみにしています!
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ネオンホールプロデュース 演劇公演2014 vol.2
「ハムレット?」
原作:シェイクスピア
翻案/構成/演出:西村和宏

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25歳以下の長野の若者と香川県四国学院大学の演劇コースの学生16人が
真夏のネオンホールで古典の代名詞「ハムレット」に挑みます。
詳細はこちら→
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