「ヤルタ会談」アフタートーク文字おこし その1 2015/1/18(日)
ネオンホールプロデュース演劇公演vol.3「ヤルタ会談」
アフタートーク( 2015/1/18 夜)の内容をご紹介しますー。
全約30分。長いので2つに分けました。その1からお読みください。
- - - - - - - - - -
増澤 今日はご来場いただいてありがとうございます。演出の仲田恭子さんと、Bチームの俳優月原くんと、総合プロデュースの増沢珠美でアフタートークをはじめさせていただきます。
去年からこの、ネオンホールプロデュース公演企画をはじめたのですが、それまでプロデュース公演は「記念公演」という形で、ネオンホール10周年、15周年、20周年とやってきていました。それを毎年かつ、年に2回くらいのペースで、若手で元気のある演出家を招いて滞在創作をしたいなってことで、今回で3回目になります。
仲田さんに演出を依頼した経緯は、最近、木曽に越してこられたということで、ちょくちょくお会いする機会があって、で、作品を見たときに、知り合いのことばを借りますが「攻めてるな」って思ったんですね。それで、ネオンがこれから演劇を一生懸命やっていこうって時にぴったりな演出家さんかな、ということで仲田さんにお願
いしました。
仲田さんはどうして受けたんですか?
仲田 1年前の『もんぜんまち劇場』に参加をさせていただいたときに「長野でやってくださーい」っていう軽い流れがあって「じゃあ、ぜひ」というかんじで。増澤さんが、さくさくすっきりしていて、なんか面白いなと思って、まあぜひやってみたいなと。笑。あと、長野に面白い方がいっぱいいたので、いいなと思って。はい。
増澤 今回の企画の意図として、AチームBチーム2つ両方観てもらって"演出"っていうのが一体どういうことなのかっていうのを味わってもらいたいなっていうことで、両方、無理矢理、観てもらう形のチケットにしました。
会場 笑
増澤 演者でももちろん違うけれども、やっぱり演出でお芝居がいかに変わるかっていうことを観ていただければ、これから先いろんな意味でこの界隈の演劇にしろ、表現にしろ、豊かになっていくのかなというようなことでこういう形をとったんですが、Bチームのキャスティングは実はネオンホールの側で決めてます。私が出演した事に関しては、みんなに「お姫様やりたかったんでしょ」っていわれたんですけど、まあ、もちろんピンクのドレスは着たかったけど!
会場 笑
増澤 ドレスっていうのは先に決まってたことじゃないんです。仲田さんの演出を一番身近でダイレクトに味わいたいなと思って、出演したということなんです。まあ、そういうなかで、中沢清さんはいつもカフェシアターを率いてる座長で演出家だったりするけれど、ここはもう“役者”で、どかっと入ってもらおうと。…それで、あと一人どうする?というときに、『ヤルタ会談』っていう史実に対して、中沢さんは非常にリアルだと思ったんです。史実に対して身体の接触があるなと。私なんかは感覚としても皆目なくて、で、さらにもっとない若い世代とのセッションっていうのが、ある意味この問題をダイレクトにあらわせるんじゃないかと思いまして。“若い人”で誰だってなったときに、月原くん、が、いいだろうと。あの…
月原 めんどくさい奴として…
増澤 そうですね。笑。そう、“エネルギーが高い人”として月原くんが選ばれたんです。笑。今回やってみてどうでしたか?
月原 あ、そこで来ます!?えっと今回やってみて…ぼくは2つ返事でオッケーしたんですけど、やってみたらものすごい大変でした。すんごいおこられたんですよ。仲田さんに。「そうじゃない!そうじゃない!」って。千本ノックみたいな感じ。
増澤 何を中心におこられたんですか?
月原 …なんか、具体的になっちゃいますけど、えっと、お芝居の、ぼくの芯が高いと。重心というか、芯が高いとこにあるからもっと落としなさいよということを言われたんですけど、ぼくそれがどうも良くわからなくて、ふはは。やってても全然わかんなかったのをひたすらおこられて、えっと、なんとか間に合いましたか?
仲田 はい。笑
増澤 その辺はどうだったんですかね?ぱっと観た感じと、経緯と、結果でいうと。
仲田 そうですね。中沢さんも珠美さんもすごく説得力があるというか、ベテランなので、それに対して対等な感じに見えないと作品的に成り立たないので、ちょっと頑張ってもらうしかないなという感じで。
増澤 具体的にはどんな稽古をしました?
仲田 最初は、鈴木メソッドとかちょっとやってみてもいいんじゃない?とおもって重心を安定させるっていうのをやってみたりもしたんですけど、あんまり効果がないなと思い始めて、で、演出プランも変わってきたのもあって、細かい指示を一個一個していって、なんとなく「まだ全部“点”だけどうまい具合に全部をつないだら良くなるかな」と思ったけど、うーん…という感じになって…。で、もう間に合わないって1週間くらい前ですかね、時間を取って行動線とか全部で8ページくらい書いてそれを最初から整理をしなおして、上からじゃなくて下から投げるみたいな事をスポーツに置き換えて説明したらすっと入ったみたいで、それからは(芯も)上がらなくなりましたね。
増澤 ブロックとかを置いたり持ち上げたりもしてましたけど、アレもそういうような所からのアプローチですか?
仲田 それもあるし、スターリンのキャラクターづくりもあります。
増澤 なるほど。まあ、Bチームはそんなかんじだったんですけど、Aチームに関しては仲田さんに(キャストを)セレクトしてもらったんです。押しつけじゃなくて仲田さんのやりたい人とやってもらいたいと思ってAチームのキャスティングをお任せしました。下垣さん、ムラタさん、鈴木大地君っていうキャストになってますが、この辺の視点というか、理由はありますか?
仲田 あー、実は私、ダブルキャストっていうのを忘れてて、「仲田さんキャスト決まりました?」っていわれて、「いけない!」とおもって慌てて「そう言えば前、下垣さん私のやつに出たいって言ってくれてたな」とかって思って、で、ムラタさんは初めて見たときから大好きな女優さんで、ぜひと思って、あと鈴木君はそう言えばキソだったなって
増澤 キソ?
仲田 あ、木曽? 私が住んでるとこの近くの出身で、じゃあ、みたいな。笑。
増澤 あー、なるほど。Aチームの課題はあったんですか?
仲田 Aチームは、私の意図として、日本人として「やだなー」と思う内容を、日本人が芝居でやらされていることの違和感を、なるべく活かす形でやってみたいなという気持ちがありました。なので、キャストの課題というよりも、自分のやりたいことが成立しきれないんじゃないかという気持ちがあったりもしていますね。はい。俳優でいうと鈴木君が始めて3年くらいで、まだ弱いというか、月原君もなんですけど、受ける芝居をすごいするんですよね、それでずっと通しちゃうみたいな感じがすっごく気に入らなくて 笑。
増澤 気に入らなくて 笑
仲田 そう、そこは変えようと思って頑張りました。