ネオンホールプロデュース 演劇公演 vol.3「ヤルタ会談」キャストインタビュー ルーズベルト・ムラタヒロミ
- - - - - - - - - - - - - - - -
(Aチーム)ルーズベルト役・ムラタヒロミさん
- - - - - - - - - - - - - - - -
ー 若林君とムラタさんは2014年、“権堂国定忠治劇団”で共演。ー
若 そう言えば、普段は何をされているんですか?
ム フツーの事務職の会社員です。
若 どうして演劇をやろうと思ったんですか?
ム 実は“七味堂”という劇団の座長と小学校からの幼なじみなんです。
第一回公演の受付を手伝ったり、観に行ったりしていて、面白いなーと思っていました。
その友人に誘われて23歳くらいの時に、舞台に立ち始めました。
若 社会人になってからだったんですね。
ム そう。社会人だけど、暇だったから部活の延長みたいなかんじで。
若 その後は劇団に所属したりしていたんですか?
ム そのまま“七味堂”に参加しました。で、その中で、ペーターゲスナー演出の「山姥」という作品に参加した時に、“演劇実験室カフェシアター”の中沢さん(Bチーム、ルーズベルト役)たちと一緒に中条村〜静岡〜戸賀を回る旅公演をして(今も付き合いのある演劇関係のみんなと)親しくなりました。その後ネオンホール十周年公演の「毛皮のマリー」に出演したときに、カフェシアター座長の中沢清さんから「ヒロミ・デ・バルドー」と命名していただきました。
若 ツアーというか旅公演って一体感でますよね。それ以外に転機になった事ってありましたか?
ム 西村和宏さん(“青年団”、“サラダボール”)が演出した作品に出た時かな、感情先行でやるって方法しか知らなかったんだけど、能とかもそうなんだけど、型というか、どう見えるか、っていうのも大事で。感情とか自分の内面的なものは、後からついてくるというか。筋道、段取りからやっていくところが合理的に感じて、転機といえばそこらへんかな。
若 自分のかかわり方に具体的な変化はありましたか?
ム 表現のストックを増やそうとするようになりました。パッとすぐに出せるように。
若 どうやって増やすんですか?
ム 人生経験だったり、色んな作品を観て。パターンを増やすというか。「泣く」って言っても、色々な「泣く」があるでしょう?
若 なるほど。絶え間なく色んな作品に出演されている印象があるんですが、生活との関わりは?
ム 出勤中はブツブツ台詞を言ったり(笑)かなり生活に入り込んでいます。所属としては“thee”、“カフェシアター”、“お能の会”、それに羽布さんの作品のレギュラーメンバーというかんじかな。
若 何が楽しくて出演し続けられるんでしょうか?
ム これだけ続けていると、単に「出れて嬉しい」、てのはさすがにもうないです。「何か得たい」と思って出演してます。あと逆に、満足してしまったら続ける必要は無くなると思ってます。。一生懸命になれる理由としては、今急に死んじゃったら困る人がいるなとか、生活の中にも緊張感があるっていうのはあるかも。
若 死ねない理由みたいなかんじでしょうか?
ム 私にとって、ないと死んじゃうって訳じゃないんだけど、そこを外から貰えるというか。
若 出演するかどうか、って決める時に、どういう所で決めてますか?
ム 自分が面白がれるか、って所かな。今回は、仲田さんに呼んでもらったので、2つ返事で決めました。
若 仲田さんのどこが魅力ですか?
ム 攻めてる所かな。演出や衣装もそうだし。なにかメッセージ性を持たせている所かな。
若 長野市の演劇はどうやったらもっと面白くなると思いますか?
ム うーん。あ、ネオンのやっている事、今回は特に大事だと思ってる。みんな実はよくわかってない「演出ってなんぞや」ってのを提示しようとしているというか。同じ脚本でも、演出が違えば手触りが全然違ってくるんだよね。後、色々な作品を観た方が良い。良いのも悪いのも。
若 面白いと思う作品は?
ム “劇団☆新感線”の「アテルイ」とか。かっこいいんだよね。殺陣とかコテコテなんだけどいちいちかっこいい。あと、暗いヤツよりは、どちらかというと面白いものがいい。でも、単純に面白いだけじゃなくて、ちょっと毒というか、ブラックユーモアがある作品が好き。若様は?
若 なにが面白いかって言うのがまだ上手く言葉にできなくて。中には観てて辛いなってのはありますけど。
ム そこを分析しながら観ると良いんだよ。話が面白くないのか、役者が気障すぎるのか、衣装か、音が気持ち悪いのか、それとも体がキレてなくてぬるっとしているのか、とか。
若 ああそういう事なんですね。ちなみに長野周辺の作品で良かったな、っていうのはありますか?
ム “たなかぱんだ”とか。あと、“ゴッサン”(ゴッドサウンド+スタジオエンド)。基本バカなんだけど、バカなだけじゃなくて、きっちりやるんだね、あの人達。舞台に対してとても真摯なんだけど、作品に対して小馬鹿にしているというか、ちょっと角度を変えて遊びを入れてやるんだけど、その遊んでる所が逃げてないというか。凄くバカな事をまじめにやっていて、それが逃げじゃなくて。意思があって、ちゃんと戦略のもとでちょっとズラしてやっている所かな。
若 今後の野望というか、やりたいことは何かありますか?
ム 七味堂が今は活動休止しているので、復活させたいな。後、また演出もやってみたい。役者に音響に照明に、色んな人を使って自分の面白いと思う事を表現出来て、お客さんから反応を貰えるってのは面白いよ。
インタビュー 若林優也
編集 若林優也、ナツミ