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ネオンホールプロデュース 演劇公演 vol.3「ヤルタ会談」キャストインタビュー スターリン・下垣浩

更新日:2015年01月14日|書いた人:プロデュース公演2015「ヤルタ会談」

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(Aチーム)スターリン役・下垣浩さん
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若:若林
ナ:ナツミ
下:下垣さん

 よろしくお願いします。ぼくはデパートのかいじん(信大生サイケバンド)で白塗りで踊ってる下垣さんしか知らないんですけど、下垣さんって普段なにしてる人なんですか?

 ジュースの会社の副所長です。笑

 おおお。えっと、演劇との出会いを教えてください。

 昔、仕事で愛知に住んでて、で、バンドをやってて… え?ハードコアパンク。笑。で、転勤で松本帰ってきたんだけど、その前にバンドをクビになったりして。

 え?!バンドって何したらクビになるの?

 ギターやってたんだよねで、でも、そのうちベースになって、で、こんどボーカルになったんだけど、あまりにあの…、鎖振り回したりね。音楽的に成立しなかったよね。まあ、情熱のはけ口的な。。存在としては今と同じような感じだったかもしんない。笑。(いま、バンドのメンバーとして、白塗り踊り子をやっている)

 そのときいくつですか?

 二十歳くらいかなあ。ほんとは高校卒業して美大に行って絵を描きたかったんだけど、親父に言ったら「そうかヒロシ…東京は砂漠だぞ…」って演歌の歌詞みたいなこといわれて。まあなんだかんだで松商短大にいったんだよね。で、これからはコンピュータの時代だとかいってプログラミングの勉強したんだけどあんまりぴんと来なくって、で、テニスやってた。

 えー!さわやか〜!
 バンドとかはやってなかったんですか?

 なかったんだよね軽音学部。で、テニス部の部室にアンプ持ち込んでガンガン弾いてたら、やっぱ色んなとこから苦情が来たみたいで。笑。そしたら用務員のおじさんが「体育館の部屋空けてやるからそこで弾きなよ」って言ってくれて。「いいんですか?」なんつって、でそこでギター弾いてた。したらそのうちみんなが音を聞きつけてだんだん部活になったんだよね。

 おお!軽音部創設!

 で、はなしもどすと、就職して松本帰ってきて、高校のときアイアンメイデンとかコピーしてた廣田っていう、“経帷子”のね、とバンドまたやろうって。で、バンドやってたんだけど、あるとき「松本演劇フェスティバル」をみた廣田が演劇やりたいって言い出して、で、“スコッティーズ”っていうに出てた“リウマチ”の信大の人たちね、を見たときに「あ、これすげえな」って。うん。「芝居、やろう、やろう」ってなったんだよね。で、アングラとか、舞踏とかね、テレビで見てて好きだったからそういのうをね…

 え、テレビでやってたんですか?

 うん、中学のときぐらいにね、11PMでやってたんだよ。木曜日に。寺山修司がでててしゃべったりとか。舞踏の練習風景とか。熊野の合宿とか。これすげえなって、オレこれやりたい!って思ったよね。

 アングラの情報をテレビで仕入れるってなんか新鮮ですね。

 うん、深夜番組でね。ちょっとエロいやつ。うちの人たちが寝静まった後に居間に行ってイヤホンさして、みてたの。

ナ・若 あー。笑。

 廣田さんと劇団はつくったんですか?

 うん、今のまつもと演劇連合会の永高さんと廣田と“劇団モノリス”っていうのをつくって、あがたの森の教室でずーっと練習してた。二年間ずっと練習ね。演劇の公演ってどうやってすればいいのか誰も知らなくて。。みんなバンドマンだったからね。

ナ・若 笑。

 結局公演するんだけど、よくわかんないから100万くらいかかっちゃって。赤字がね、100万ってことね。ないものどんどん買っちゃうから。

 わお。どんな内容だったんですか?オリジナル?

 近未来のやつ。核戦争後の世界とかの。そう、オリジナル。10人位しかいないから一人10万請求が来て、それでやめたやつもいたね。

 下垣さんはやめなかったんですね。

 そのときはやめなかったんだけど三年くらいやってて、やっぱ熱の入り方とかみんな違うじゃん、で、いやになってやめたんだよね。で、やめたんだけど、やめて何にもしてない抜け殻みたいになったオレを見て、奥さんが「また芝居やったらいいんじゃないの?」って。へへ。そんでまた芝居やりだしたの。ふふ。出戻りね。

 ふふ。モノリスはどうして終わったんですか?

 まあ、オレはね、内部分裂というかで、手紙だけかいてやめたんだよね。書き置き。

 え、なんか遺書みたいじゃないですか。

 でも「あいつは絶対戻ってくる」って言ってカラオケかなんかで一生懸命チャゲアス(の「SAY YES」)を歌ってる永高さんにオレは涙して、ほだされて、やめるのやめたんだよ。

ナ・若 おおおー!

 それでも最終的には団長の廣田が、「やめる」ってことにして、でも実は他の劇団立ち上げて人誘ったりしてて…。

 クーデター?

 や、トップがそれしたらクーデターじゃない。独立した上でヘッドハントしたってことだね。

 笑。かもしんないね〜それでおれたちは“演劇実験室経帷子”っていうのをつくって、永高さん達は別のをつくって。
“経帷子”はオレと廣田と松岡さんと舞沢智子さん、えっと舞沢さんは、おれが演劇やるきっかけになった人ね、はじめて見た劇の、主人公の女の子、笑。

 初恋の人じゃないですか。

 そうそう笑。あ、舞沢さんは清水さんと一緒にバンドもやってたんだよ。で、中沢さんたちみたいに実験的なことやりたいよねっていって「演劇実験室」ってつけさせてもらったの。

 長く続けてきてその演劇の好みは変わってきましたか?

 最初の頃は人の見なかったからね。でも舞踏とかやり出した頃から見るようになってね。5年くらい前かな。色んな表現を吸収したいなとおもったりね。いろいろある中で天井桟敷系はやっぱすき。カフェシアターとか。面白いよね。
あ、あと、アートひかりは衝撃を受けた。羽布ちゃんとか。ああいう人たちの感覚は衝撃だった。アート的な表現というか、衣装とかもね。見せ方がね。

 実際に(アートひかりの)仲田さんとやってみてどうですか?

 いや、実はいままでしっかり演出をしてくれる人とやってこなくて。「いてくれればいいよ」っていう事が多かったから。笑。このはなしが来たとき「これはちゃんと向き合わないとな」って思ったよ。芝居にね、覚悟を持ってやらなきゃいけないなっていうきっかけかなって思ったよね。試練みたいな感じというか。

 きっかけとして(向き合う)スイッチは入ったんですか?

 ああ、笑。だいぶ最近になって入ったね。昨日くらい。笑。

 昨日おとといからなんか変わったとおもった!誰かにおこられたのかなって。笑。

 うんてっちゃん(哲郎)とかが台本見ながらよってくるんだよね。「さっきここまちがえてましたよ」とかいって。これは…、とおもって、いよいよね。昔自分で本かいてたときは、一言一句間違えるのを許さなかったのにね。笑。

 その脚本に関してはどうですか?

 いま、今日も朝テレビでやってたけど、結局宗教戦争みたいになってて…イスラム教は危ないとか北朝鮮は危ないっていってるけどそういう情報はアメリカが流して操作してたり。そういのが実際一番あくどかったりするんだろうなとか思うよね。

 はまり役じゃないですか!(スターリン)

 最初(スターリン役でっていう)はなしが来たとき、オレ、パンクやってたから「スターリンってエンドウミチロウみたいなのでいいですか?」って仲田さんにメール返したら、返事が返ってこなかったんだよね 笑

 そこから比べるとだいぶアレですね。朝ニュース見て「ヤルタ会談」を連想するくらい、自分のことになってきてるというか。

 そうそう。世界情勢とかやってると、はっとするよね。

 わかる。わかる。

 最初は小難しいかんじがするな〜とおもって台本もぜんぜん読む気になれなかったんだけど、視点というかちょっと広げてみると、今とつながってるんだなって。今やる意味、すごくあるとおもう。

 演劇はたのしいですか?

 うん。たのしいよね。つらいことも楽しいよ。というか、自分が一歩踏み込めば、何やっても楽しいよ。

 できるようになるのが楽しい?

 いや、できないことはできなくていいんだよ。できなくてもね、おもしろいんだよ。

 うーん、越える快感というよりは、ハードルに立ち向かうこと自体がたのしいって事ですか?

 そう、立ち向かって…うん常に立ち向かってる。笑。そのうちね、どっかヘコんでくるんじゃないかなって思って。そうそう、だって、突き抜けられないもん。越えたって、また、壁あるんだもん。笑

 なるほど…。

 じゃあ、ずるずる演劇に巻き込まれつつある若林くんに一言!

 えーと、なんていうのかな、すごい人のいい感じがするよね。まあ、続けていくことだと思いますよ。

 どうやれば続けていられるの?続けてればいつかやめたくなっちゃう時がくるでしょ?

 あ、衝突とかねするんだけど、そこをかえようとするのはオレに向いてないから、自分がかわるというか。ね。そこで決定的な対立するよりはね。けんか好きじゃないもん。パンクは好きだけど。笑。

 そうそう、ハードコアとかパンクの人って実は心優しい人が多いですよね。

 そう、だから(ステージで)牙をむくんだよ。笑。

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インタビュー 若林優也、ナツミ
編集 ナツミ

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