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ネバメン君の「穴掘りインタビュー」web版 2013年5月のゲスト◎The End

更新日:2014年03月10日|書いた人:ネバメン君の「穴堀りインタビュー」

 長らく更新が滞っていてすみません、ネバメン君です。3月14日・15日、ネオンホールでThe Endのワンマンライブが行われます。それを記念してThe Endのインタビューを、期間限定(3月末日迄)で公開します。ライブと合わせてお楽しみください。

ネ:今日のライブ(2013年4月21日,松本alecx)はどうでしたか。

T:うーんどうだろうな。難しいっすよね。終わったばかりで考えられない。
そのときはワーっとなってても、よく考えたら薄っぺらだったなと思うときもあるし。

逆に、調子の悪いライブのなかで、何か先につながる大事なきっかけをつかむこともあるんですよ。だとしたら、それは良いライブだったとも言えるわけで。

お客さんの反応も、拍手のデシベルだけで測れるものではないし、スポーツのように勝負の判定もないから、終わってすぐの気持ちは自分でもあんまり信用していないし、特に分析もしないんです。おれは打ちっ放しのゴルフかよ(笑)。

例えば、「ロック」はお祭りで、ドアーズの「反対側に突き抜けろ」じゃないですけど、非日常を目指すものだと思うんです。現実感を失いながら、それをいかにコントロールできるかってもんで。まあ、そこにある矛盾が面白いんだけど。

それに対して「フォーク」は日常がテーマであって、そもそもロックとは行為の目的が違うと思うんです。

祭りは目指すものが決まっていて、できるだけハイになろう、なるべく盛り上がろうとするものですけど、僕がやっているフォークは、そんなに高揚するためのものでもないんですよね。

ただ、会場に居る皆さんとの関わりのなかで、行こうとなったら盛り上がるという感じですかね。「ここに居るなかで、自分が一番ぶっ飛んだ人間だ」と、不意に証明したくなったらそのようにさせてもらいますが、それは目的じゃなくて歩み寄るための手段とでも言いますか。

高田渡さんが、演奏中にお客さんが手拍子を始めたところで「ヤメロー!」とかいって突然怒りだしてさ、「乗ればいいってもんじゃないんだ」ってそこから延々と説教始めたことあったでしょ。あれがフォークのハードコア(真髄)だと思います。かなり極端ですけど。目指しているものが祭りじゃないという意味で。本来は、予定調和よりもそのときの気持ちを優先するべきものなんです。

ボブ・ディランも、1966年くらいにバイクで事故を起こして、一回リタイアしてますよね。その事故る前のディランたるや聴衆から祭り上げられていたんですよ。

卑弥呼じゃないけど、祭りのシンボルとして。フォークとしてのディランはそれを窮屈に感じていたんでしょうね。

事故については色々言われてますけど、あれはそれほど大した事故じゃなかったという説を僕も信じます。

僕は、ディランはそういうトーテムポールとか避雷針みたいな役を降りたかったんじゃないかという気がするんです。

事故った後のディランは力が抜けちゃって、しばらくは腑抜けて責任を放棄するようなことをしていましたね。「ブリンギング・イット~」と「ブロンド・オン・ブロンド」の彼にあったギラギラ感が、「ジョン・ウェズリー・ハーディング」や「ナッシュビル・スカイライン」には無い。

で、実際にはディランもロックかフォークの「どっちか」という二択ではなくて、時期によって移動しながら、ロックとフォークの「中間のどこか」に身を置いていると思うんです。例えば、1975年からのローリング・サンダーレビューでは顔を白塗りにして、一時的にトーテムポールの座に返り咲いているという具合に。

かなり話が逸れたけど、僕はどっちかって言うとフォークに比重を置いているほうじゃないかと自分で思ってます。ディランや高田さんの後でおれは自分の話するのかよ(笑)。誰だよ(笑)。

だから、ワーってなれば良いってもんじゃなくて、どれくらい深く人の心に入って行けるかという事の方が重要っす。さっきも言いましたけどその日の気分で、みんなで決めるっていうか、ここまで行きたい、というのを僕が決めるんじゃなくて、皆さんとの関わりの中で決める。それで最後にドーンとなることもあるし、ならなくてもだめというわけじゃないんです。それはもうサイコロを振ったときの出た目というか。「出鱈目」という言い方もあるけど。人によってはそんなので良いんですかって言う人もいるかもしれないですけど、僕としては自分なりにそれもまた誠実な表現じゃないかなと思ってます。

ネ:ライブの中身はどれくらい決めからやるんですか?

T:直前まで楽屋で考えて、八割方は決めてステージに上がります。でも残りは、曲を入れ替えたり、これやめてあっちにしようということは結構あります。バンドだと難しいけど、自分は一人でやっているから、そういうのは自由にできますね。

ネ:自由さと心細さがありますよね。

T:そりゃ両方っていうのは虫のいい話だから。自由を手に入れるなら、孤独とも付き合って行かないと。

ネ:昔と比べてライブのやり方は変わってきましたか?

T:変わっている部分もあるし、変わっていない部分もあると思います。
昔はyoutubeも無かったから、ライブの場所に出かけて行って、お客さんの前で自分の演奏を聴いてもらうのが当たり前で、それしか無かったんですよね。

録音したものを配って聴いてもらうとか、あんまり気が進まなかったな。僕は録音するMTRっていうの?そういう道具も持ってなかったし。作っても気にくわないものばっかりだったし。自分ができることをやってきただけなんです。

CDを録音して配るということは、CDを聴く自由をお客さんに与えるわけですよね。やっぱり車を運転しながら聴くだろうし、部屋を片付けしながら聴くだろうし。いろんな状況の中で自分の音楽を聴いてもらうってことを考えたときには、この昔ながらのスタイルでは難しい気がするんです。電波が微弱過ぎるっていうのか。

このやり方でこちらのイメージを伝えるには、受け取る側にもある程度「聴く」って言う体勢になっていただいて、想像力を積極的に働かせてもらう必要があるんです。受け手の意欲やインテリジェンスによる部分が大きいから、マグロ状態の文字通りの「お客さん」には何も伝えることができない。

声とギターがあれば表現は成立するのかもしれないけど、ライブではそれ以外の情報もあると思うんですよ。顔の表情であったり、会場の空気感であったり。
自分の持っているイメージを、いかに的確に伝えるかっていう作業なら、CDよりライブの方が上手くやれると思います。

ということで、昔よりはお客さんとの信頼関係を意識するようになったかもしれないですね。

ネ:なるほど。

T:例えば、名前を残さないで死んでいったブルースマンも大勢居るじゃないですか。戦前のアメリカの南部の方で。そこら中に、仕事が終わった後やなんかに気晴らしに演奏していた人が居たと思うんです。

ロバート・ジョンソンやなんかは、たまたま運が良いっていうか、まあ運は良くないか。少なくとも彼の音楽に関しては、たまたま後の人たちが見つけてくれたじゃないですか。名も無いブルースマンたちの中には、たぶんロバート・ジョンソンよりすごい人が居たかも知れないですよね。

そういう人たちのこと考えると、自分なんかが音源を残すなんて考えたら生意気っていうか。おれたちは最後でいいんじゃないかって気持ちで「TheEnd」ってバンド名に決めたような覚えもあるし。

ほかにも理由があって、「放課後の校庭で最後まで遊んでいるような子供」みたいな、最後までおれたちは音楽やっているかもしれないねっていう意味のThe End。あとは、今日で最後のつもりで演奏しようって意味のThe End。関係ないけど、ずっと閉店セールやってる店の気持ち、すげー分かるな。

ネ:やっぱりライブなんですね。

T:今はyoutubeで世界中に発信できる方法があるけど、それじゃ人見知りは克服できないっすよ。出かけて行って「こんにちは」ってとこからから始まって、それが筋だと思うっす。

ネ:ライブの生中継なんかも見られるようになりましたよね。

T:それは便利かもしれないけど、パソコンとかスマートフォンの画面で見てさ、「youtubeでTheEndを見たけどあんまり好きじゃないわ」みたいな。そこで判断されちゃうのはあまりにも不条理だとは思いませんか。
ライブ会場まできてくれた人が、僕の演奏を聴いてくれて、「あーこれは生理的に無理」と言われるならそれは仕方ない。だけど、youtubeとかCDショップの試聴機で判断するのはないわー。視聴機なんか置くからみんなCD買わなくなったんじゃないかな。大げさに言うと、CD買って聴くとかライブに行くって行為は人の考え方を変えてしまうくらいの力があったのにさ。それなのにスーパーの試食品みたいなことをやって自分たちで価値を下げてるんだもの。すまん話が逸れた(笑)。

ネ:ツイッターとかに音源のリンクを張ったり、絵を写真にのせて張るのは大事な最初の衝撃を奪ってしまうんじゃないかと思うことがあります。

T:今だったらそこで人生が変わるのかな。僕も来年から乗 り換えてたりして(笑)。

ネ:お客さんが山のように来たりして(笑)。

T:手のひらを返したようにね。まぁやったことないからさ。一回やってみればいいのかな。初音ミクとか。

ネ:よく知っているもが繰り返し見られるのいいですよね。昔見たライブのオンエアーとか。

T:ツェッペリンの昔のライブとかもあるよね。こんなんあったんだーなんて。正直言って、そういうものとの関わり方が自分は未だに整理できてないということなんですかね。僕は自分の部屋でギターを弾いてさ、それを何人かのお客さんに聴いてもらうっていう、そんな単純な作業の繰り返しをしてきただけだから。

ネ:歌を聴いてほしいって思いますか?

T:そうだなぁ。ネットや路上でやらないというのは、不 特定多数の人にはあまり聴いて欲しくないんだろうね。ほとんどの人は福山雅治の歌で満足しているだろうし、そういう人たちの前にわざわざ出て行って、地面に頭をこすりつけて自分の演奏を聴いてくださいってお願いすることがお互いにとって最善の時間の使い道だとは思えないな。わざわざそんなみじめなことしなくても、普段の生活だけで自尊心は十二分にすり減ってるから。頑張ってたまたま注目を集めることができたとしても一時的なものだし、そんな心配してたら自分はさらに調子が狂うだけだよ。

ネオンホールに来るような人はよっぽどで、ありふれたものには飽き足らない人じゃない?テレビもFMもつまんないって言って、寒い夜にわざわざ靴はいて出てきてくれるような人じゃん。そういう人には会いたいよね。多分、僕もそういう種類の人間だと思うし。そういう人の気持ちには応えたいし、一緒に何かしたいと思うし。何をしてあげられるかわからないけど、そういう行為全般に宿る「善なるもの」を信じたいっすね。そんなに毎日は素晴らしいことは起こらないけど、毎日そうやって出かけていくことで、ある日奇跡みたいなことが起こる場面に立ち会えたりするじゃん。サーフィンや釣りみたいに。きっと、そういうことを楽しみにして人はライブに出かけていくんじゃないかな 。

ネ: ありがとうございました。

T:あんまり良い事語ってない気がするけど。

ネ:良くなくてもいいですよ(笑)。

T:いや、大事なことだよ。情報って多すぎるから、余計な垂れ流しはいかんと思う。

そういえば最近ライブやっててもさ、僕が一番年配みたいになっててさ。そういう意味では「40歳になってもアホで居てもいいんだ」って、若い人が気楽になってくれると良いよね。いや、本当はまずいんだけどね。そういう役割は感じることがあるよ。

ネ:最近、大森さん(元bubble sweet ,元inco.)が新しいバンドはじめましたよね。

T:僕とか大森君はバンドブームっていうか、それしか突っ張る手段がなかったんだよ。あの頃は、ヤンキーになって改造バイクに乗るかバンドやるかくらいしかなかったんだよね。それか、「ガラスの仮面」読んで演劇やってるめんどくさい女とか。まあ、いろんな意味でそっちには触れない方が良いね。最初っから言うなよ(笑)。
今だと、よさこいソーランとかポールダンス教室とか、自己実現というか表現の方法がいっぱいあるじゃん。昔は選択肢がなかったんだよ。大森君もシャイだけど、僕も音楽やってないと友達ができないような人間だったから、ギターや音楽にしがみついていたんだろうね。一人で出かけていくようになって、こんにちはってライブハウスの人や対バンの人とお話しするから、それで人見知りが解消されているような気がします。ああ、でも治ってなかったわ(笑)。無駄だったかも。

ネ:今では県外からも沢山声がかかりますもんね。

T:たくさんてこともないけど、色々な人と知り合えるのは楽しいっすね。ただ、もうちょい早く声をかけて欲しかったな。つうかおれが悪いんだっけ (笑)。「今日はもう店を閉めよう」って決めたとたんにお客さんがどっと押し寄せて来た日のラーメン屋の店主の気持ち、分かるな-。

いい年して調子に乗るわけにも行かないじゃん。あと、ベテランだから当然実力あると思われてて、でもこんな感じだから(笑)。初めての場所なんかではお客さんも僕もお互いに気まずい空気吸ってます。あの固まる空気感は癖になるよ。ああ、空気ってほんとに固まるんだーみたいな。

弾き語りやっている人間なんて山ほどいるし、僕の代わりなんていくらでもいるじゃないですか。そこで若い人たちの出番を奪うのは心苦しいけど、僕の年代ってもう辞めていく一方じゃないですか。だから自分としては行けるとこまではやらしてもらいたいです。東京ドームで2デイズライブやりたいとかそういうのはもう全然なくて。最初っから無いか。呼んでくれたライブで一生懸命演奏したいっていう、目先のことだけ考えてやってます。

ネ:個人的な質問なんですが、沢山曲を作っていたら、これは自分の曲じゃないような気がしてくることないですか?歌ってみたらぜんぜん口に合わないというか。僕はよくそれで混乱するんですが。

T:あるある。ラーメン屋でテキトーに 作ったまかない飯の方を褒められて困惑する店主の気持ち、分かるなー。「これ超うまいっすね!」なんて言われても、じゃあ今までおれが苦労して考えてきたメニューは何だったんだ?的な。

「引き潮」なんかはまさにそうです。あれって今でも覚えているんだけど、2,3回歌って辞めちゃったんですよ。長過ぎるのと、お客さんをちゃんと歌の中に引き込んでいくことができなかったというか、僕のプレゼンの問題かもしれないけど。

教室に落ちているものがあってさ、「これ誰のー?」って、僕がその『引き潮』って歌を最初に見つけたんだけど。それは山川ノリヲさんの歌だったのかなと。ノリヲさんが歌っているところを見たことあるでしょ、僕が歌っているのとお客さんの反応が全然ちがうんだよね。僕が盛りあげるつもりがないから、お客さんも盛り上がらないんだと思うんだけど。

ネ:僕はどっちも好きですけど。

T:昔の曲を歌うと、今の自分とは全く感覚が違うというか、昔の写真みたいですよね。たまに別ものとして歌うにはいいよね、20代の頃の歌とかね。でもやっぱりさ、普通のさえない男の寂しい心の有り様とか、ニーズがないと思うんだよね、ガクトみたいな男のそれならまだしも。だから聴いてもらう工夫も必要というかさ。

ネ:たしかに・・・頼まれもせずにせっせと作っちゃっていますよね(笑)。

T:まぁ、ソングライティングの技術を習得するためにはいいよね。でもそればっかりだとさ。2,3曲でいいんじゃないかな。1曲目から10曲目までずっとそうだと、「そんなにバリエーションあんのかよ」ってもんでしょ。

「では月曜日の僕の姿を聴いてください」「つぎは火曜日の僕の心の風景を聴いてください」「今度は反対からいきます」「雨の日の僕の孤独を」・・・。そんなにお前に興味ないしって(笑)。誰なんだよと。それは絵を描いている人だとしたら、自画像ばっかり描いている人ですよね。

ネ:曲を書く視点というか角度は大事なって最近よく感じます。

T:色んな考えで生きている人がいてさ、そういう人の気持ちになって、色々な立場に立って歌を作って唄うことは意義があると思うんですよ。無理して書き割りのような復興ソングを作る必要もないと思うんですけど。弱い立場の人とか、困っている人とか、いじめられている子供とか、行き詰まってる人。ソングライティングって いう技術があるんなら、たまにはそういう人の役に立ってみたいなと思います。はじめから終わりまで月曜日とか給料日前の自分のことばっかり聴いてもらってもなんか申し訳ないっすよね。

(終)

ネバメン君の「穴堀りインタビュー」web版 第2回ゲスト◎友部正人さん 後編

更新日:2012年09月04日|書いた人:ネバメン君の「穴堀りインタビュー」

ネバメン君の「穴堀りインタビュー」web版
第2回ゲスト友部正人さんの後編です。

ユミさんが事務所に登場


ユ:友くんまだ終わらないの?
  みんな待ってるよ。

友:もう終わるよ。

ネ:最後に聞いていいですか。
  ニューヨークにいる時に日本のことって
  気にしているんですか?

友:もちろん、なりますよ。

ネ:どうやって知るんですか?

友:うーん、そうだね。

ユ:ネットだよね。
  この人あんまりパソコンやんないから
  私が教えてあげるの。

友:そうだね日本のことは。
  地震の時はネットだよね。

ユ:大変なことだったね。
  24時間NHKニュースをユーストリームで見てたから。
  世界で私達が一番見てたよ。
  あの時は発狂しそうになったよね、悲しくて
  すぐにごはんも食べられなくなって。
  友達が心配で、すぐに帰りたかった。
  必死だった。
  電話なんか全然つながらないし。

ネ:うんうん。

ユ:それもね、朝起きてニュースで見たの。
  日本の地震の日の夜が、ニューヨークの朝だった。
  大変なことが起こってるって知ったの。

ネ:どんなタイミングで日本に帰ってきたんですか?

友:予定通りに。
  日本のライブに合わせて帰ってきたから。
  4月11日に帰ってきた。

ユ:私はすぐに帰りたいっていっただんだけど
  友くんが
  「普通にしていよう」
  って言ったの。
  どっちが正しいか解らないけどね。

ネ:そうですね…。

ユ:みんなまってるよー。

友:もうおしまいにしよっか。

ネ:うまくまとまるかなぁ笑。
  ありがとうございました。

- - - - - - - - - - - - - (第二回 完)


【編集後記】
友部さんは文字通り憧れのミュージシャンでしたので。
今回のインタビューはとても緊張しました。
昔のアメリカのミュージシャンのように、
「ロマンチックな発想」で路上で歌い始めたとうお話が印象的でした。
そういえば自分もロマンチックな思いでもって楽器持って歌い始めたんだった。
そういう最初の思いをいつも抱えていたいです。
友部さんのライブを見る時にいつも感じる、爽やかさは
このロマンチックな発想からだったんかと思ったのです。

ネバメン記す

ネバメン君の「穴堀りインタビュー」web版 第2回ゲスト◎友部正人さん 前編 

更新日:2012年06月15日|書いた人:ネバメン君の「穴堀りインタビュー」

ネバメン君のインタビューWEB版、
第2回目のゲストは、友部正人さんです。

タテタカコさんとのツーマンライブの後にお話しました。

昔の事を思い出しながら、ポツポツと話す友部さんは、
歌うたいの領分を静かに守っているようでした。

- - - - - - - - 

友部さんネオンの事務所にやってくる。


ネ:よろしくおねがいします。
  今はニューヨークに住んでいるんですよね。
  いつからニューヨークに住んでいるんですか?


友:1996年から。16年前だね。


ネ:その時はお休みでいってたんですか。


友:プロモーションビデオを撮りにいってて、
  たまたま向こうで知り合った人と街を歩きながら、
  アパートを紹介してもらったりして。
  そしたら凄く古いお城みたいなビルがあって、
  良かったので気に入って住み始めたんです。


ネ:どんな暮らしをしているんですか?


友:ニューヨークではね、
  今はもうライブ活動は全然していなくて、
  お休みですね。
  日本ではライブをして、
  向こうではお休みです。

  セントラルパークが近いので
  週末はランニングのレースに出たり、
  あとは日本のライブのための
  曲を作ったり。

  日本ではライブが多くてほとんど何も出来ないので、
  ライブ以外の事をニューヨークでやってます。


ネ:日本は歌う場所で
  ニューヨークは休む場所ですか。


友:そう、半分半分でやってるから。
  日本にいる時間はライブしか出来ないけど、
  ニューヨークでは時間がたっぷりあって
  ゆっくりしています。
  家の近くにリンカーン・センターとか
  カーネギー・ホールとかがあるんで、
  オペラ聴いたりコンサートに行ってます。


ネ:なるほど。……


幸:…そう言えば!!
  ネオン来たミュージシャンが、
  「友部さんは仲間が機動隊に
   連れて行かれそになった時に
   一人で立ち向かったんだ」
  っていってましたよ。


友:なんの話ししてるんだよ笑。
  そんなことしてないよ笑。


ネ:何してたんですか。


友:そのミュージシャンが言ってたのは
  きっと名古屋の話かな。


ネ:名古屋に住んでいたんですか?


友:そう、高校は名古屋だった。
  高校を卒業して名古屋の道端で歌っていたら
  僕が歌っている姿を見て
  当時新宿ではやってたフォークゲリラと
  勘違いしたのか同一視したのか
  大学生や新左翼系の学生が
  わーと集まってきてすごかったの。

  ギターを持った若者や、全然関係ない野次馬もいて、
  5000人くらい集まってしまった。


ネ:すごい。。。


友:当時の僕には
  フォークゲリラについての知識もなかったし、
  誰かと戦うつもりもなかったよ。
  俺の頭のなかには、どっちかというと
  ボブ・ディランが好きということしか頭に無かったから。
  昔のミュージシャンがやっていたことを
  真似していただけだった。


ネ:うんうん。


友:後はウッディー・ガスリーとか。
  ああいうアメリカのボブ・ディランが
  影響受けた音楽が好きだった。
  もっと昔の、労働者運動の頃とか
  不況時代の音楽とか、ブルースもね。

  その頃のミュージシャンが
  道端で歌ってたとか
  電車の中でうたったとか、
  そういうロマンチックな発想が
  ずっと僕の中にあったんだよ。


ネ:なるほど。
  その時名古屋にギターを持って集まった人は
  何をうたっていたんですか?


友:そうだね。
  僕は自分の歌をうたっていた。
  岡林信康とか早川義夫の歌を
  歌っている人もいたね。


ネ:プロテストソングを歌っている人たちも
  いたんですね。

  そのあとに名古屋から東京に
  移り住んだんですか?


友:その後は大阪に行ったの。
  大阪の帝塚山というところにしばらく住んでいて、
  そこを拠点にしてあちこち歌いに行ってた。


ネ:僕の生まれは大阪の天王寺なんです。


友:そうなんだね。
  天王寺にもよく行ってたよ。
  駅では歌ってないんだけど
  駅の近くにビルがあって
  糸川燿史さんという写真家の人がシナリオを書いて
  そこで芝居をやった時に、出演したんですよ。
  芝居の前日に一気に曲を書いて。
  その時に出来た歌が『大阪にやってきた』。


ネ:どんな芝居だったんですか。


友:芝居の内容はわすれちゃったな。


ネ:アングラ芝居ですか?


友:もちろんアングラ笑。

つづく

ネバメン君の「穴堀りインタビュー」目次のページ

更新日:2012年05月02日|書いた人:ネバメン君の「穴堀りインタビュー」

newsnebamen.jpgネバメン君インタビュー
ネオントーク(ネオンのスケジュールフリーペーパー)で連載中の対談コーナー“ネバメン君の「穴堀りインタビュー」”紙面には載せきれないエピソードが毎回たくさんあるのでweb版(=完全版)をはじめることにしました。

第1回ゲスト◎タテタカコさん 前編 2012年5月1日更新
第1回ゲスト◎タテタカコさん 後編 2012年5月2日更新

ネバメン君の「穴堀りインタビュー」web版 第1回ゲスト◎タテタカコさん後編

更新日:2012年05月02日|書いた人:ネバメン君の「穴堀りインタビュー」

ネバメン君の「穴堀りインタビュー」web版
第1回ゲストタテタカコさんの後編です。
前編はこちら→


ね:ネバメン君 タ:タテタカコさん


(ネバメン君のお友達?幸江登場)

幸:あ、どうも、幸江です!
  突然おじゃまします!
  というかタテさん、
  前はそんなにポジティブじゃなかったよね?

タ:なぁ!なぁ!

幸:昔読んだ対談は、なんか、生きるのしんどい、
  歌はかろうじて歌えますけど。
  みたいなかんじだったと思う。

タ:もちろんそういう丸裸になる瞬間は
  日常にいっぱいある
  けど、今日のライブの充実感とか
  お腹いっぱいな感じが
  こういう風にさしてくれてるのかな。

ね:昔はストイックな音楽好きの客さんが多かったと思うんです。
  最近はちっさい子からお年寄りまで色々な人が見に来てますよね。

タ:結局それは出会った人が増えてきからなんだと思う。
  私の周りにもネオンホールの周りにも
  ちびっこさんが増えてきたというのもあるし。

幸:前回ネオンホールで、森ゆにさんとやったライブの時は
  凄くやわらかいかんじだったね!

タ:やっぱり関わる人や一緒にライブする人から
  空気感みたいなものをもらえるんだよね。
  一人でやる楽しみもあるんけど
  こうやって一緒にステージに立つと
  普段できないと思っていることができたりするんだよね。

幸:ライブ以外の時は、何かんがえてるの?
  あ、猫さんのこととかは?

タ:猫のことも考えてる
  けど猫にあうには音楽をすることが大前提かな。
  だから、曲の事を考えて…

  あと「うすらぼんやり」してる。
  最近の表現としては。笑

幸:「うすらぼんやり」っていいね!

ね:曲はどこでつくるんですか?

タ:ぼんやりしてる時のほうが出てくる
  あと、自分の歌をうたっているときとか。
  よし!つくるぞ!と意気込むんじゃなくて
  なんか間合いがあるっちゅうか…。

ね:上手に引っ張らないと千切れるみたいな?

タ:そうそう。
  でもそういう千切れたものも
  一杯出さないと出てこないんですよ。
  だから、あれもこれも全部中途半端なんだけど、
  全部出し切っとかないとだめんなんです。

ね:なるほど。

タ:「こうすれば曲ができる」というのが欲しい!
  だけど、そんなのは上手くいかないわけで。
  行ったり来たりしてますよ、日常の中で。

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ね:5月は友部さんと一緒ですね。(ネオンホールで)

幸:ある時期から、急にいろんな人と
  ライブやりはじめた気がしない?

タ:なぁ!去年ぐらいからすごいよね。
  一人にこだわってたこともあったんだけど
  「自分の音に責任を持ちたい」とか言ってたと思う。
  「人のせいにしたくない」とか。
  でも、音楽以外にも物づくりしてるとか
  絵を描いてる人とも知り合っていって…。

  そう、昨日ぐらいに皿洗いしてる時、
  気づいたらほんとに色んな人とやってるなぁと思った。

ね:うんうん。

タ:自分がそういうことしたいな、
  一緒にやりたいなって思ってたことと
  周りの人とのタイミングが合ってきたのかな。

幸:あと、誰かが「この人とタテさんを会わせたい」
  っていうのもあるよね。きっと。

タ:そうだ。
  今日の島崎智子さんもそうだね。
  結局、引きあわせてもらっているんだよね。
  5月の友部さんとのネオンホールライブも
  ほんと待ち遠しい。
  友部さんの歌をじっくり聞きたい。
  思う存分聞かせて貰いたいし
  対バン楽しませてもらえたらなぁと思います。

ね:楽しみにしています。
  今日はライブに対談に、ありがとうございました。
  また5月、よろしくお願いします。


- - - - - - - - - - - - - (第一回 完)

=編集後記?=
「相変わらず立っている場所は一緒。」だけど、
人との出会いや、出来事から感じ取った事、日々の積み重ねを
大事にしながら、悩み、進んでいくタテさんは
これからもゆっくりと、しなやかに変わっていくんだろうな、と思いました。
変わる事はこわいけど、まったく変わらない事なんてありえない。
変わる事をかくごしていっこいっこ受け止めていけたら
大変だけど、豊かな日々なんだろうとおもいました。

そんなタテさんとお話しさせてもらって、
私の中の何かも、ちょっと、変化したような気がします。

ありがとうございました。

ナツミ(ネバメン君ではない!)

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