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お盆から約10日間、長野と香川の若者たちと創る演劇「ハムレット?」が先週末、無事4回の公演を終え、幕を下ろしました。
演出家の西村さんは、3月にも一緒に演劇を創ったので、約半年ぶり。
西村さんは、長野に滞在して演劇作品を創る、というのを2009年から初めてこれまでもう9作品も創っているんですね。
(毎回感じるんですが、)プロの演出家の創作の現場に立ち会えるのは、本当に刺激的です。
アンケートを読んで、作品を自分の事として観てくれているのを感じて、
なんだかとても嬉しかったです。
稽古期間中、よく頭の中を「〜するべきか、しないべきか、それが問題」という思考が巡っていました。普段の悩みの思考がこの台詞に彩られたというか。
人は400年も前から、ずっと「〜するべきか、しないべきか」について悩んでいるんですね。
考えることをやめたらいけない、そんな気がしました。
今回は、25才以下の若もの16人と一緒に創りました。
西村さんが教鞭をとる、四国学院大学演劇コースの学生6人。
とっても素直で、大学生とは思えないような落ち着きがある人たちでした。
ステージに上がると、とても存在感を発揮していて、経験値の高さ感じました。
長野のキャストにとっても、ネオンホールにとっても、とってもいい出会いでした。
香川の学生がやって来るということもあってキャストの募集に年齢制限をもうけました。
(長野の若者と、香川の若者の対峙/融合みたいな主旨で。)
これも、これまでにない試みだったんですが、
結果的にとてもエネルギッシュでエモーショナルな作品だったなぁと振り返っています。
長野のキャストには、ネオンスタッフの若林くんと矢島も参加しました。
取り立てて演劇経験があるわけでない二人が、伸び伸びと楽しそうに頑張っている様子にも、とっても励まされました。
また今回、稽古期間にブログの中で、いろんな人に演劇に関するインビューをしました。
演劇についてその価値を改めて知ったり、演出について知る手がかりがあったり、
とても勉強になりました。
大きなエネルギーにあてられて、活力をえたり、新たな予感を感じたりしています。
ネオンホールでは来年の秋までの間に、プロデュース公演が3本(!)決まっています。
ぜひ、足を運んでください。
ネオンホールが土禁になった2日間。
ネオンホールプロデュース演劇公演「ハムレット?」を開催し
そして終了しました。(土禁も解除されました。)
この企画の始まりについては話せば長くなるので省略します。
とにかくいろいろな経緯と決断を経て
今回のプロデュース公演では四国で活動している西村和宏さんと
出演者を25歳以下にしぼって、「ハムレット」を作ろうということになりました。
結果、(当然だけど)本当にこのメンバーでしかできない作品が出来ました。
年齢のことを言っているのでなくて、
演出家、出演者、スタッフがそれぞれの挑戦をまっすぐに認め合いながら
真摯に取りくんだ結果、「ハムレット?」という作品がうまれたってことです。
そう、やりたいことはあるけど正解がわからないものに「挑戦」して「うみだす」感じ。
あんまり演劇のことを知らないなりに西村さんをみていてそういう風に感じたのは、今回がはじめてで(あ、柔らかいモザイクの街でも感じたかも)それをネオンホールでできたことが、うれしかったです。
稽古自体は10日間でしたが、日々演劇を勉強している四国の学生は長野に来る前に第1部(今回の作品は2部構成でした)を既に完成させていたし、長野の若者たちは稽古期間が始まる前にセリフをおぼえ、毎日10時間くらい稽古しながら、技術以上にものすごいスピードで舞台に上がる覚悟を決めていったように見えました。そこへタイミングよく導いていく演出家ってすごいなーとかおもったり。
挑戦の結果何があったかは、
演じた人、作った人、応援してくれた人、覚悟をもって立ち会った人、たまたま見てくれた人、若者、先輩、男、女、悩みがある人、幸せな人、自分のことが好きな人、マイノリティだと思っている人、立ち止まっている人、逃げ道を探している人、前を向こうとしている人、若者とは無関係だと思う人、答えを知っていると思っている人…
それぞれに解釈してもらえたらいいなと思います。
正解なんてないとわたしは思っているので、
解釈とかたくさんあったらおもしろいなーとおもいます。
私自身は、この作品を作ることをとおして
ちょっとうまくいえないし、誤解を恐れずにかくと
自分を肯定するということは、こういう風に他人を肯定できるってことなんだ!
(って、よく耳にするけど、実際にその瞬間を目の当たりにして)
と、他人の姿から身を以て知れたことがとてもうれしかったです。
逆もあることも同時に痛感。
カオスの中から突然やってきた今更な実体験にちょっとびっくりしました。
そんな10日間。
朝がきて、嫌でも明日につながって
終わってしまった今日が毎日あるように
過去の10日間でもあるし、未来の10日間でもあるような気がします。
最後まで挑戦を続けられたことがによりうれしかったです。
ありがとうございました。
ネオンプロデュース公演はvol.5まで決まっています。
そしてプロデュース公演ではないですが来月は劇団唐ゼミ☆が権堂商店街にやってきます。
その公演中はネオンホールの営業をお休みして唐ゼミ☆とともに公演を制作します。
どうぞよろしくおねがいします。
…ネオンホール夏はまだまだ終わらない!のです。
ナツミ
いよいよ明日は本番。
ネオンホールのすぐ近くに、住居兼アトリエ兼ギャラリーを構える、ご近所アーティストの角居さん。
アートと演劇について、お話を聞きました。
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哲:唐突にあれですが、角居さんは演劇をよく観ますか?
角:演劇は長野に来るまでほとんど観ませんでした。
今もあまり観る方ではないですね。
こちらに来て役者やってる友人たくさん出来たので見る機会増えましたけど。
哲:あ、そうなんですね!
ネオンホールでやるお芝居には、よく足を運んでもらっているという印象があります。
ありがとうございます。
ネオンでのお芝居に限らず、今まで観た中で面白かったお芝居はありますか?
角:それまで演劇の見方(多分そんなものはないと言われそうだけど)がよくわからなかったので、本を読んだ時のような余韻を味わうことが出来なかったんですけど、友人と話し合う中でいろんなものを発見出来たという意味で、僕にとっては「マッチ売りの少女達」は印象に残っていますね。
哲:なるほど。。なんか、嬉しいです!
美術作品を観るのと、演劇を観るのってちがったりしますか?
とりあえず、見る側の物理的な制約っておおきいですよね?
なんかその辺についてどうでしょう。
角:以前、役者やってる友人に「角居さんいると場があったまってやりやすいわー」って言われたことがあります。それを聞いて自分が思ってるよりずっと演劇って双方向的なんだなーって思いました。
多分、役者と観客がお互いにテンションをあげていくっていう面もあるんじゃないですかね。
アートでも公開制作とかはそういう傾向あるけど最終的に「モノを残す」っていうゴールがありますからね。実際観客いなくてもいいし、作りたい形決まってるならその場のテンションとか関係ないし。
演劇の場合その場その場が勝負だから観客も巻き込んじゃいますよね。多分同じ演目を演じても違うものになるんじゃないですか。役者さんなんかはスゴく感じてると思うんですけど。今度聞いてみなきゃ。
双方向的だから観てるほうの熱も上がりますよね。
その場のその瞬間がだいじな“一期一会”的な感じがありますね。
アートの場合は作品によるのだけど何回も見れるし場の熱量はさほど高くない。
場とか瞬間とかでなくて作品が与える自分の内面を見てる感じがするんですよ。自分の内面だから持ち帰り可能。
言い換えると演劇はそこに行かないと食べられないレストランで、アートはお弁当買ってきて食べるみたいな感じがします。
哲:うーん、なるほど。。
逆に、アートと同じ、と感じられる部分ってありますか?
角:アートと演劇・・・っていうくくりじゃなくて表現全体のことになると思うんですけど、ちょっと中毒的な魅力があるんじゃないですかね。
はまり込んだら抜け出せない的な。ただ演劇に特化した人、アートに特化した人とかは居るかもですけど。
僕のイメージでいうと体の中に怪物が居るんですよ。唐突ですいませんが。
その怪物「好奇心」ってヤツだと思ってるんですけど、すごく餌をほしがるの。
で、例えばテレビを見たり、買い物に行ったりして少しおやつあげる感じでなだめるんだけど、ホントはもっと感情自体を揺するようなおっきい餌を求めてて、涙流す程の感動とか、胸を締め付けられるような思いとかすると大喜びするんですよね。怪物が。
んで、もっとよこせって言う訳。
演劇の場合、場全体の一体感とか、ストーリーの巧妙さとか感動しちゃうともう怪物うれしがっちゃって「またこういうの味わいたいなー」みたいなね。旬のものをドラマチックに味付けしたレストラン。気に入ると何度も訪れる常連さんに。
アートの方はお弁当ですからね、お持ち帰り可能。例えば僕で言うと埼玉県立近代美術館のジャコモマンズーの枢機卿とか、富山県立近代美術館のジャコメッティの針金みたいな細い女性像とか、心の中でリフレインできるんです。んで、そういうのはキツい味付けじゃなくて滋味深い。じんわりとずっと怪物がうっとりしてる。反復も可能なので再度見に行くと若い時はわからなかった感覚でまた見れたり。で怪物がまたうっとりしてる。
要は自分の中の怪物の存在を認めたら餌を与え続けなきゃならない感じが共通な気がします。これは音楽とか表現全体ですかね。
哲:怪物かぁ、、なんか感動したときのアドレナリンの出具合とか、感情のコントロール難しさとか、そもそもこう「感動したい」と漠然と欲してる感じとか。
一つの人間らさともいうんですかね。なんかしっくりきます。
そして、うっとりしてるって、かわいくていいですね。
いいえさをあたえ続けていきたいですね!
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ネオンホールプロデュース 演劇公演2014 vol.2
「ハムレット?」
原作:シェイクスピア
翻案/構成/演出:西村和宏
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25歳以下の長野の若者と香川県四国学院大学の演劇コースの学生16人が
真夏のネオンホールで古典の代名詞「ハムレット」に挑みます。
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ご予約受付中です!
来年1月のネオンホールプロデュース公演で演出をするのは、「アートひかり」主宰の仲田さんです。
“演出”をテーマにお話をうかがいました。
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哲:仲田さん、いきなりですが、演劇の演出に興味をもったり、やり始めたきっかけについて教えてもらえますか?
仲:高校の時に演劇部で、作・演出を行ったのが、きっかけですかね。
役者志望で演劇をはじめたけど、声が小さくて、それがコンプレックスで、それでもなんとかならないかと声以外の色んなアイデアを遂行しているうちに、逆転の発想=演出的目線が身に付いていったような、そんな流れな気がします。
哲:逆転の発想が、仲田さんにとって一つの演出の着想なんですね。
なんか、演劇って役者論とか役者ありきみたいなところからはじまる雰囲気ありますよね。
自分は最近やっと、「演劇が作品になるためには、演出が大事」っていうことを体験し始めた感じなんですが、仲田さんにとって演出ってどういう作業ですか?
仲:そうですね~~自分における演出の作業としては、物事をフェアにしていく作業、かな、と思います。偏らせないというか。です。
哲:偏らせない、なるほど。。
仲田さんの作品を観ていると少し意外な言葉に感じますね。
それは具体的にはなにをどうしていく事なんでしょう?
仲:単純なことで言えば、衣装でも演技でも、美術でもなんでも、これは恥ずかしいな、とか、狭いな、ということをなくしていくことです。
作品を観てほしい観客が、老若男女だったり、日本各地だったり、世界各国の人々なので、そこに納得してもらえる、通用する強度のあるものを目指しています。恥ずかしいとか狭いの基準はそこで決めています。
哲:地域や世代がちがうと文化的な価値観って変わりますね!
そういう価値観の違いに絶えるものっていうのは、「普遍性」ということなんでしょうか?
仲:そうですね、人間にとっての普遍性ってことだと思います。
哲:腑に落ちます。
もし仲田さんが、シェイクスピアを演出するとしたら、どんな感じになるんでしょうね。
とても興味があります!
仲田さんが思う、ハムレットや、シェイクスピアの面白さって何ですか?
仲:昔はそういうもんかあ、と思ってましたが、広く上演されている中で、色んな人の独特な解釈や手法や熱意がそれぞれだったりするのを観るうちに、そのことが面白いなと思うようになりました。
きっと、ハムレットに限らず、シェイクスピア作品が、現在も色んな形で上演され続けている理由や魅力が、何かあるからだと思いますが、不勉強で、まだその面白さを語れるに至らずで。
シェイクスピア作品は、貴族達にとっての、ゴシップ紙だったり、昼メロみたいなもんだったんじゃないかなと個人的には思ってるんですが、とにかく有名なのはすごいと思います。
高校時代に演劇部をはじめた頃、何の部活に入ったのか聞かれ、「演劇部に入った」と告げると、身内親戚誰でももれなく「ああ、ロミオとジュリエットの。」と言いました。
静岡の片田舎だったんですが、みーーんなそれしか知らないくらいにシェイクスピアは知っていて、ものすごく「象徴」。演劇界で同じように浸透しているギリシア悲劇や聖書に比べても、感情的で、劇的で、とっつきやすいんですかね。
今回のハムレット?の試みも、自由度が高そうでどうなるのかとてもミステリアスです。きっと刺激的な作品なんだろうなと妄想します。
哲:「象徴」!
そうですね!とてもしっくり来ます。
自由度、高いと思います。
自分は演劇未経験の人が、舞台の上で素直な感じで、というかこう観てて恥ずかしくなく
いきいきしていると、とても嬉しいです。
いい作品になるよう、残りわずかですが、頑張ります!
仲田さんには、また9月の「ちんどんワークショップ」、来年1月のネオンのプロデュース公演とお世話になります、いまからとっても楽しみです!
どうぞよろしくお願いします!
仲:こちらこそ、がんばります!
ありがとうございました。
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ネオンホールプロデュース 演劇公演2014 vol.2
「ハムレット?」
原作:シェイクスピア
翻案/構成/演出:西村和宏
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25歳以下の長野の若者と香川県四国学院大学の演劇コースの学生16人が
真夏のネオンホールで古典の代名詞「ハムレット」に挑みます。
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