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長野市民日記172 2016年7月30日(水)
今日、別荘に来た。
野尻湖の湖畔にある別荘。パパが二〇年前に建てたやつ。この時期はいつもココに来て静養するのだ。
デッキの安楽イスに座り、そのゆれを楽しむ。森と湖に抱かれ心は平穏。
目を閉じて思う。
“なぜ男女は友達以上の関係になってしまうのか?”
ふるふると頭を左右に振る僕。
もっとはっきり言いきろう。
“なぜ男女は恋愛関係になるのか?そんでもってセックスしちゃうのか?”
カナカナカナとひぐらしが鳴いている。
“恋愛関係ではなく友達関係の方が精神的肉体的には楽チンなハズなのに…”
「嫉妬しなくてイイしさ〜」
赤ワインを一杯あおりつぶやく。
実は僕が団長をつとめる劇団内で色々あったのである。色々考えるのである。
西澤尚紘

長野市民日記171 2016年7月20日(水)
昨日、遺跡の発掘調査が終了した。
今年の四月中旬からやっていた遺跡発掘のアルバイトも昨日で終わり。
ちょっとさみしいのである。
土器片や発掘仲間ともお別れしたから。
「次、何んのバイトしよっかな〜」
四畳半の室内。寝ころびながらバイト情報雑誌に目を通す僕。清く正しい中年フリーターの姿である。
ページをパラパラめくっているとある求人情報に目が止まった。「ぬお?」
<西尾ペット探偵事務所・ペット探偵の助手募集・一日六時間・時給八〇〇円>
「何コレ!?面白そ〜!」
その仕事内容を確認する。
<迷子のペット探し>
「やるしかない!」探偵事務所に電話。
西尾社長(ペット探偵)に言われた。
「君は小さな動物は好きですか?」
「好きです!」面接を受けることになった。
西澤尚紘

長野市民日記170 2016年7月10日(日)
最近、恋をした。
恋心。それは感情。そんな感情を僕はある女性に対してもってしまった。
生徒会長の高梨ユリさんを好きになってしまったのである。
“ユリちゃん、君は罪なヒトだ”
生徒会室の窓辺でタメ息をつく書記の僕。
「もう恋などしないと決めていたのに…なぜ君はそんなにも魅力的なんだ…」
掃除用具入れロッカーをはたきながら言う。
中学三年の時、バレー部のまなみちゃんにコクってフラれ恋をあきらめていた。
「ユリちゃんのバカヤロー!」
つい窓を開けてどなる。
「誰がバカなのよ?」背後から言われた。
彼女が立っていた。制服を血でよごして。
「ど、どうしたの!?血ィついてるよ!?」
「空手部のバカな三年が、同じ部の一年生をイジメてたから鉄拳制裁してきたの」
ほほえむユリちゃん。魅力的なのである。
西澤尚紘

長野市民日記169 2016年6月30日(木)
今日、娘と会った。
暑い。暑すぎる。夏の日ざしはキツイ。
「ガ、ガリガリ君ソーダ味が食べたい」
一人でリヤカーを引きながらつぶやく私。
古紙回収の仕事である。
古紙回収業者にわたすためのダンボールや古新聞を街中から集める。リヤカーが一台まるまる回収物でいっぱいになったら千円もらえる手はず。
「ふあっ!ふあっ!」坂道を登る。気合の声を発しながら登る。
Tシャツが汗でビショビショだ。
善光寺へと続く坂道の途中、一軒の民家に立ちよった。玄関のチャイムを鳴らす。
“ガチャリ”扉が開いた。
「パパ〜!」娘のモエ(二才)が出て来た。
娘とは諸事情(離婚)により別々の暮らし。
モエが私の太ももにしがみついて離さない。
「ほらアメだよ。なめるかい?」
「うん!なめる〜!」娘が元気でよかった。
西澤尚紘

長野市民日記168 2016年6月20日(月)
今日、先輩に説教された。
「なぜ君はこの世界を自分勝手に規定してしまうの?傲慢だとは思わないの?」
え?せ、せかい?き、きてい?
優花先輩はさらに言う。
「世界の世界たるゆえんはその未規定性にあるのよ!つまり世界は定義不可能!!」
ちょっと…。駅前のマックで一〇〇円のバニラシェイク飲みながら言われても…。
優花先輩が耳にかかった黒髪をかきあげながら言う。
「どんな時も世界はあるようにあり、人生はなるようになるの!」
「は、はい」
「だから私とつきあいましょう」
告白された。
“一生恋愛とか結婚とかしないつもりっす”と述べたら説教され告白された。
優花先輩の目はマジ。
「よろしくお願いします」僕は言った。
西澤尚紘
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