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長野市民日記-116

更新日:2015年01月11日|書いた人:【連載】長野市民日記


長野市民日記116 2015年1月10日(土)

 今日、トラクターで田をおこした。
 田んぼで一人トラクターに乗る。一速なので走りが遅い。少々ねむくなる。あくびをかみころしながらフと思った。
 “そうだパリへ行こう”
 幼なじみのリョウ子がフランスで絵を勉強しているのだ。リョウ子とは去年の夏に会ったきり。顔が見たいのである。
 トラクターを止め田んぼのまん中から彼女に国際電話する。十秒後彼女がでた。
 “もしもし〜ムニャ”超ねむそう。時差九時間のせいだ。
 彼女がねぼけた声で”どしたの?“ときいてくる。私はiフォンにデカイ声をだす。
 “あのさ、リョウちゃんの顔が見たいのでそっちへ行くね。そんで、会ったらシャンゼリゼでイベリコブタを…(以下略)”
 彼女は“マジ?”と少しおどろいたが、最後は笑いながら”くれば〜“と言った。
 電話を切ると私はシャンソンを歌い始めた。

長野市民日記-115

更新日:2014年12月31日|書いた人:【連載】長野市民日記


長野市民日記115 2014年12月30日(火)

 今日、福祉施設へ来た。
 午後、街の路上。ポケットをゴソゴソする。サイフをとりだし中身を見ると三〇円のみ。
 「どうしよう、もうお金がない」
 最後に日雇いの仕事をしてから五日がたっていた。三〇円ではネットカフェに泊まれないのである。
 空腹をがまんし今夜ねむれる場所を探し歩いた。街はなんかにぎやか。一年が終わろうとしているから。
 「おなか空いたよ〜」
 そう思いながら中央公園まで来た。もちつきをしていた。二〇人くらいの人が集まってもちつき。もちをふるまっていた。
 「お、おもちくらはい!!」
 じやんがアンコのを五コもくれた。もぐもぐ食べていると肩をたたかれた。もちをくれたじやんだった。
 「君、ホームレスの人?」“ハイ”と答えると福祉施設へつれていってくれた。

長野市民日記-114

更新日:2014年12月20日|書いた人:【連載】長野市民日記


長野市民日記114 2014年12月20日(土)

 今日、雪かきの仕事をした。
 ホント大雪。村中雪まみれ。便利屋の仕事がいそがしかった。一人暮らしのばやん宅の屋根に登り一メートル以上積もった雪を角スコで下に落としていく。ふん!ふん!と。
 “オレ頑張ってる。夜はご褒美にスナックへ行って飲もう”そう思って一日中作業をしていた。
 夜村で唯一のスナック”あけみ“へ行った。
 あけみママ(推定五〇才)に、「いつもの」というと“ハイヨ”と言って中ジョッキでカラーミルクをだしてくれた。カラーミルクを飲みながらママに恋愛相談してもらう。
 “チー子をワカサギつりに誘ってもあいつぜんぜんのってこないんだよ”
 ママはタバコの煙をひと吐きし言ってきた。
 “あきらめなさい。あの子は消防団員の大助君にメロメロなんだから”
 私は“あ〜あやっぱりか〜”と天をあおぎ二杯目のカラーミルクを注文するのだった。

長野市民日記-113

更新日:2014年12月12日|書いた人:【連載】長野市民日記


長野市民日記113 2014年12月10日(水)

 今日、小説を書いた。
 午前7時、スティックシュガーを5本入れ、ミルクで白くなったコーヒーをズズと飲む。
 “よし”と思い、鉛筆を走らせる。
 「私はアナタみたいな恵まれない環境で生まれ育った下層階級の中学生をいじめるのが大好きなの!さあココをナメな!」
 原稿用紙が鉛色にうまっていく。昨夜から徹夜で書いている官能小説が一番のぬれ場にさしかかっていた。
 「やめて!やめてよ女王様!ボクもう、もう、あっ、あっ、あ〜!イク〜!」
 数週間ぶりの童貞エロ妄想スパークが脳内をかけめぐっているのが分かった。次の原稿用紙に手をのばしかけたその時、
 “なお君、学校へ行く時間よ”部屋の外でママの呼ぶ声。社会復帰するための訓練所へ行く時間だった。
 “うん、今行くよママ”原稿の束を押し入れにつっ込み、部屋をでた。

長野市民日記-112

更新日:2014年11月30日|書いた人:【連載】長野市民日記


長野市民日記112 2014年11月30日(日)

 今日、工事現場で働いた。
 道路のほ装作業。ドリルを使ってひたすら古いアスファルトを取り除いた。
 仕事を終えスーパー銭湯で汗を流すといつもの店へ行った。
 メイドバー“ウサギのおうち”。
 「おかえりなさい御主人たま!」
 メイド姿のメロンちゃん(推定18才)が、笑顔で迎えてくれた。
 フツーに“ただいま”と言って奥のソファー席につく。ウイスキーをロックで注文、ちびちびやる。
 他に客はいない。メロンちゃんが“ヨイショ”と真向いに座り、いつものように夢を語りだす。
 「私ネ、ガッコ卒業したらハワイへ行く。そんでサーフボードのお店で働きつつネ夜はクラブでDJやるの。いいでしょ。」
 私はいつものように“いいね”と頷きつつグラスをかたむけるのだった。

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